大学受験は試験時間が長いことが多い。学校の授業は主に50分~60分であることが多いが、共通テストなどの試験時間を見てみると、国語80分、英語70分+リスニング60分、数学ⅠA70分などと非常に長いのだが、それを1日に何科目も受験することになるので、それだけの時間集中力を持続できるかというのがキーポイントになる。
私の生徒さんで、どうしても英語を長く受験できない生徒さんがいた。前半の方の問題は順調にこなせても、後半で出てくる長文を解こうとすると途中で集中力が途切れてしまい、何も分からなくなる、とのことだった。
心理学ジャーナリストの佐々木正悟さんによれば、集中することのメリットをまず理解するのが大事らしい。集中することのメリットとは、
①集中した方が気持ちが良いこと
何かに集中してあっという間に時間が過ぎる経験をしたことを思い出すとよくわかると思う。
②集中した方が効率よいスキルアップにつながる
集中せずにただ時間が過ぎてしまうという無駄が発生しないということですね。
③集中した状態になると脳が興奮状態になるが、そのちょうどよい興奮状態においてはパフォーマンスが最大級になる時点がある、ということである。
次に集中力の妨げになる一つの要因が「不安に思うこと」なので、上記①~③のメリットを理解した上で、以下の点について自分でリストアップしてみるとよいらしい。
1.普段からやろうとしているのに、すぐにできないことを書き出してみる。
2.そのことで何が不安になるか?を書く。
3.その不安は的中するのか?的中しない不安を消してみる。
4.不安になれば解決する問題以外を消す。
5.不安を解消するためのアクションを書く。
佐々木さんの理論を合わせて考えると、要するにこの生徒さんは長文を読むときに不安を感じるということになる。長文を読むときになぜ不安に思うのか?少し推測してみた。
英語という教科を高校1年からこつこつとおこなってきた者にとって、受験生になって読む長文には知らない単語や文法解釈が難しい文章がたくさん含まれており、自分の身に付けてきたものが役に立っているという感が得にくい。このときに、「まだまだ単語や文法書をやり足りてないのでは?」と思わないでほしい。これは公式を完璧にすることの記事でも書いたが、完璧に読めるような長文が出題されることの方が珍しいと思った方が良い。この時点で分からないことをしっかり自分で受け止め、解答・解説をしっかり読み、時には単語帳や文法書で確認するなどのことを繰り返し行うことが大事である。このように対処することをあらかじめ決めておけば、長文を読む際に不安を感じることは少し減るのではないだろうか。そして大切なことは、たくさんの長文問題を解くことである。