不安が強い中高生に「頑張れ」だけでは届かないことがある
さまざまな不安を口にする中高生
ひと口に「不安」と言っても、いろいろな種類があるしひとそれぞれです。
私の生徒さんの例では、「最近勉強できない」という相談から始まることが多いです。
勉強しなければいけないと分かっているのに、できないのです。
または、怖くて「テストなどが受けられない」などということもあります。
その場合は失敗してしまうことしか想像していないと考えられますが、実際には、本人が感じているほど状況が悪くないケースもあります。
自分の経験からいろいろなアドバイスをしたりして、そのときは「なるほど!」と言っていたりするのですが、そのあとそのアドバイスを実際に実行するひとは意外と少ないなあと思ったりします。
つまりちゃんと自分事として納得していないし、腑に落ち切ってないのです。
そこで自分事として納得してもらうための方法を少し考えてみました。
不安を書き出すと整理しやすくなることがある
「最近勉強ができない」という相談をしてくれた生徒さんには、まずなにか他に気になることがあるか、と尋ねています。すると、いろいろなことが少しずつ出てくるのでそれを書き留めています。
この書き留める、という行為を本当は生徒さん自らやった方がよいのです。心理学領域では、「書くことで気持ちを整理する」方法について研究されています。ここでは、その考え方も参考にしながら、不安を書き出す方法を紹介します。
【ステップ1】最初は「何が不安か」だけを書き出す
例として、
- テストが怖い
- 将来失敗しそう
- 周りに置いて行かれそう
- 勉強しても足りない気がする
などです。ここでは「整理して書こう」と思わず、ぐちゃぐちゃでもOKにします。
また、少し行を前後に広めにとって書いていきます(後ほど書き込んだりします)。
たったひとつでも構いません。またうまく言語化できないときは、「なんかもやもやする」でもいいのです。
そしてそのあと、その思いが強くなる場面を一緒に書いてみます。例として、
- テストが怖い → 模試の結果を見るとき
- 将来失敗しそう → 夜寝るとき
- 周りに置いて行かれそう → 友達の勉強時間を聞いたとき
- 勉強しても足りない気がする → 親に進路を聞かれたとき
などです。
不安は「常にある」ように感じるかもしれませんが、実は特定の場面で強まることが多いです。
【ステップ2】「頭に浮かぶ言葉」を書いてみる
次に続けて、頭に思い浮かんだ言葉を書いてみます。
- テストが怖い → 模試の結果を見るとき → もうダメかも
- 将来失敗しそう → 夜寝るとき → 貧乏になるかも
- 周りに置いて行かれそう → 友達の勉強時間を聞いたとき → もっとやらないと
- 勉強しても足りない気がする → 親に進路を聞かれたとき → どうせ無理
正しいかどうかなどは気にする必要はないです。ネガティブでも、まとまっていなくてOKです。頭に浮かんだそのままを書いておいてください。
【ステップ3】「頭に浮かぶ言葉」から「気持ち」を客観視する
頭に浮かんだ言葉から、自分はどのように思っているのか、どんな気持ちを持っているのかを他人事のように分析します。たとえば、
- テストが怖い → 模試の結果を見るとき → もうダメかも → 不安
- 将来失敗しそう → 夜寝るとき → 貧乏になるかも → 恐怖
- 周りに置いて行かれそう → 友達の勉強時間を聞いたとき → もっとやらないと → 焦り
- 勉強しても足りない気がする → 親に進路を聞かれたとき → どうせ無理、才能がない → 諦め
気持ちの言葉ヒントを挙げてみます。
不安
焦り
悲しい
怖い
イライラ
悔しい
申し訳ない
緊張
疲れた
自分のことを少し離れたところから見てみる感覚です。
このような感覚は、いずれいろいろな場面で必要となる自分を客観視する技術につながります。
【ステップ4】「事実」と「予想や決めつけ」を分ける
たとえば、模試の結果についてはもう出ているものについてはどうしようもない「事実」です。そこから「こんな成績では受からない」など「予想」して不安になっています。また、次回の模試の結果について「予想」して不安に思っている、ということもあります。
友達の勉強時間を聞いて、「周りに置いて行かれそう」と思うときには、友達の勉強時間については「事実」ですが、それによって「これでは足りないのでは」と「予想」して焦りを起こしています。
自分に才能がない、などと考えるのは「決めつけ」となります。
このように考えると、人は不安が強くなると事実以上に未来を悪く予想してしまうことがあるようです。どんな人でも陥るごく自然な行動です。そこから決めつけてしまったりするかもしれません。
事実はもう変えられません。けれど、勝手な予想や決めつけについてはまだなんとかできる可能性があります。
【ステップ5】別の見方ができないか考える
ここで大事なのは、無理に前向きになることではありません。
少し遠い視点で、別の見方ができないかを考えてみます。
たとえば、
- テストが怖い → 模試の結果を見るとき → もうダメかも → 不安
→ まだ本番ではない - 将来失敗しそう → 夜寝るとき → 貧乏になるかも → 恐怖
→ 受験に失敗しても別の道があるかもしれない - 周りに置いて行かれそう → 友達の勉強時間を聞いたとき → もっとやらないと → 焦り → 効率よくできているのかもしれない
- 勉強しても足りない気がする → 親に進路を聞かれたとき → どうせ無理、才能がない → 諦め → 苦手な分野があるだけかもしれない
というように、別の角度から客観的に考えてみるのです。少し視野を広げることが目的です。
【ステップ6】「今できる小さい行動」を探す
なんとかできるものをなんとかするために、最後に今できる小さい行動を探してみます。なるべく「今できる最小単位」まで小さくするのがコツです。5~10分ぐらいでできそうなこと、などでしょうか。
たとえば、
- 模試の結果で単語ができていないと書いてあったから毎日5分だけ単語帳を見よう
- いつも寝る前に5分使って今日自分なりに頑張ったことを書こう
- 勉強が嫌になったときに休憩を入れた後、あと10分だけ勉強しよう
などです。
自分一人でこのステップまで来れたら本当にすごいと思います。
自信を持ってください。
ひとりでできそうにないと思うときは相談を
ひとりではとてもできないと思うときは、是非メール相談を利用してください。
あなたの気持ちをまとめるお手伝いをします。メールを書くうちに自分の思いがはっきりすることもあります。
ただし、強い希死念慮や重度の抑うつがある場合は、抱え込まないようにし、専門機関に相談することも必要になります。その状態かどうかもご相談できると思いますので、気軽にメールを書いてみてください。
